Sunday 18 November 2018

大峰山(Oomine Yama) 1,050mh

山根さん執筆
 平成30年11月11日(日曜日)
秋晴れの青い空に常緑樹の帯をまとった錦繍の山
今日は、佐伯町と湯来町にまたがる、標高1,050mの大峰山(おおみねやま)を目指す。
山は見る方向によって形が変わる。山の南東側からは、右肩上がりのやや平たい台形である。(東側の平谷の辺りからは、その右肩を頂点にした円錐となるようだ)
秋晴れの青い空に、中腹に広めの常緑樹の帯をまとった錦繍の山容が美しく、山登りの意欲をそそる。登山口へと向かう道路端に点々と立つ黄金色の銀杏もひときわ輝いて見える。
直行組みの二人に少し遅れ、本隊の四人が、下川上の駐車場に9時12分に到着。男性のみの七十代の爺さんたちが、準備体操はおざなりに、陽気に交わす話は、朝の目覚めの時間と夜中に起きる回数、硬くなった体を癒すためのストレッチの方法、等々である。

ともあれ、9時25分、いよいよ登山開始。 
駐車場から舞台風の建物や浴場だったと思しき家屋のある広場を通り抜け、点在する別荘の間のアスファルトの道に出る。
 その際、メンバーの一人に小さなアクシデントが発生。その対応に若干の時間を要したが、その道はもう急坂である。

登山口附近の鮮やかな楓
浴場と思しき家屋
ところで、『山は高くして貴からず』と言うが、やはり標高のある山は、それなりに、登る人に満足感を与えるものである。広島市の近郊にあって千メートルを超えるこの山は、それだけで十分に魅力的である。


大峰山を右側に眺めながら別荘地付近を通過
9時40分、別荘地用の「貯水槽」に至る。道の左手の岩の上に“大峯山→”の板が乗せてあり、ここが、実質的な登り口である。

さあ、これからは、急登につぐ急登である。9時46分、2合目の標識に出会う。喘ぎながらさらに上ると、10時4分、マイルストーンのひとつである「ベンチ」に着く。ここで一息入れる。険しい道だっただけに、皆、どの程度登ったのか気になるところである。
檜の林へ急騰が続く
やがて、雑木林から整然と植林された檜の林に移る。左右に折れながら単調に続く高い木段を嫌って、その脇に登山者たちが自然につけた迂回路を、さらに小さくジグザグにステップを切って上る。それだけキツイ。夏なら、心臓が飛び出しそうになるだろう。普段は使わないストックも使った。
シロモジの黄葉の光の中
10時15分、檜の一本に取り付けられた5合目の標識を目にし、うれしくなる。「ベンチ」からおよそ20分強で、雑木林に変わった尾根筋を上ることになる。10時33分、7合目の標識を確認。
余裕の先着二人
10時41分には、「展望岩」に至る。後続の皆さんは、ほぼ予定どおりの45分過ぎに到着。岩からは、やや立木の枝に遮られつつも、眼下の南側には、東から西へと走る県道30号線沿いの友田や津田の町筋が白っぽく光っていた。そして、かろうじて、主峰の東に「まわり縁」を認めたが、危険過ぎてお爺さんたちにはエンが無い。
山頂近く緩やかな道
山頂近くになって、やっと緩やかな道が少しだけ続き、地理院の三角点を通り過ぎると、大きな岩の塊が重なる頂上の下部に辿り着く。そこを右に回り込んで、一つ目の岩をアルミの梯子で下り、二つ目の岩の梯子を上ると、頂上である。10時57分。予定より13分早かった。
山頂は右上の岩、アルミの梯子を伝っていく
360度大パノラマを満喫
山頂では、360度、遮るものの無い大パノラマを満喫でき、無風の為か、やや霞んではいたが、東に窓が山・鈴ヶ峯、南に宮島・小五郎山、北に冠山・恐羅漢山・十方山を望めた。
恒例の集合写真
恒例の集合写真を撮り、しばし、景色を楽しんだ後、11時30分、往路をほんの少し引き返し、すぐに右方向に道を選んで西大峰山(1009m)への縦走路を進む。
西大峰山(1009m)へ向かう
ここからの道は、往路と雰囲気がガラッと変わって、熊笹が蔓延った明るいブナの林を、落ち葉を踏みながら下ることになる。両脇の熊笹はきれいに刈り取られ、とても歩き易い。
歩き易い尾根道
10分もたたない内に「峯太郎ブナ」に至る。何本もの幹に分かれた大きなブナだが、『そうか』という感じ。
峯太郎ブナ
12時12分、ブナの幹に巻かれた、“左、滝コース”と手書きされた小さなテープを見付ける。
西大峰山山頂との分岐点である。まっすぐ、山頂へと向かう。ここからが、かなりきつい。縦走路は一面が落ち葉に埋もれて判りづらい。所々の赤のテープを頼りに登ることになる。
やっとの思いで上り切った12時21分、山頂に着く。やはり熊笹が刈られ、眺望を遮るものは無い。少し、遅くなったが、早速、昼食を楽しむ。食後、2回目の集合写真を撮る。


2回目の集合写真
予定の13時に下山開始。下りで足早になる分、上り以上に路を判別しづらく、ともすれば、そこを外れがちになる。
下山は尾根筋から滝コースを下る
滝コースの分岐を右に折れる。13時29分には、左手に細長く下る「滝」に出会う。次のマイルストーンは「七人墓」であるが、下山道は、倒木も切断され、通り易くなっている。誠にありがたい。墓には13時48分に到着。謂われを知りたかったが、説明文が全く消えており、残念。
七人墓の墓碑の前で

14時3分、西大峰山入口と記された大きな屋根付きの案内板の建つ、随分と幅の広い舗装道路に出た。右(西)に行けば、万古渓から津田の町へと続く。左(東)へと、のんびり歩を進める。小春日和の穏やかな昼下がり、日本の原風景とも言うべき里山の道は、のどかで実に気分がいい。
数分も歩くと、華ちゃんという名の女性の案山子に抱かれた「上川上の六地蔵」と記された木柱と、その石碑が立っている。道を挟んだ反対側に、花の咲く木があり、よく見ると、桜に違いない。博学な先達曰く、「これは、○○と言う桜なり」と、しかし、音痴の小生、花木の名前を聞いても端から忘れてしまう性質にて、申し訳なし。
桜の花が今頃、開花
と、私たちの方へ坂道を上ってくる頭に手拭をかぶった、品の良いお婆さんが歩いてきた。何処へ行くのかと聞くと、『お寺に参る』とのこと。桜の名を尋ねると、『名は知らない。その先を左にゾロッと上がったところの家だが、お爺さんが植えた同じ桜がある。しだれ桜も植わっている』との返事。話し好きなのか、耳が少し遠いのか、皆の質問とは外れたことを縷々語ってくれる。
お婆さんと別れて、数十メートル下った山のふもとに、しだれ桜のあるかなり立派な家があった。きっと、ここだろう、と思った。畑の菊らしき白い花が印象的だった。
14時19分、玖島川上のバス停を通り過ぎる。左手に登ってきた大峰山のなだらかな山容が蒼穹の空に映えて美しかった。


麓の里は日本の原風景だ!

幅の広かった道が急に狭くなり、少し行くと、14時30分、見お覚えのある駐車場が見えてくる。車を停め置いた下川上の駐車場に戻って来た。
10数台の車が駐車されたままだった。道草のせいか、予定より5分の遅れ。歩行距離7.8km、昼食休憩を含む所有時間5時間5分の山行だった。
了。
蛇足ながら、念の為に申し添えておくが、私たち明日山の会の爺さん連中は、体の衰えを自覚しつつも、日々、陰ながらつましい努力を続けようとしている。客観的には老年だが、主観的には十分に壮年である。暮れるには未だ早い。まだまだである。

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