Friday 22 December 2017

七国見山 ( Nana Kuni Mi Yama ) 呉の上蒲刈島に高くそびえる

     山根さんの寄稿です
平成29年12月17日(日曜日)
この冬、何度目かの強い寒気が流れ込んだ。
定刻の8時30分を少し遅れ、男性6名・女性4名で3台の車に分乗して商工センターを出発。鉛色の腹を見せる雪雲から白いものが散る中、呉は上蒲刈島の『七国見山(標高457m)』を目指した。
この岩山の向こうに七国見山、山頂からは七つの国が見える!
車中、ひょっとして今日は、穏やかな瀬戸の海原に浮かぶ島々の眺めも諦めるしかないかぁ、それどころか、凍てつく風が吹き荒ぶ頂上での昼食かぁと、嫌な思いが胸中をよぎった。
ところが、ほぼ予定どおりの9時30分頃、安芸灘大橋を渡ろうとすると、未だ小雪は舞っていたが、西と南の、海に近い空が薄く水色に輝いて見え始めた。うれしや。望んでいた、瀬戸の開放感あふれる潮の山の逍遥(時に、急坂に苦しむこともあるが)が楽しめるぞと、思わずほくそ笑んだ。
9時45分、登山口のある蒲刈ウォーキングセンターに到着。
蒲刈ウォーキングセンターから出発 山は左上方に
登山口はセンターの東北の隅にあり、用足し・登山靴への履き替え・軽い準備体操を済ませ、10時3分にスタート。この頃になると、雲はすっかり吹き払われ、蒼穹が気持ちよく広がっていた。
落ち葉の中、いきなりの急坂に喘ぐ
Mさんから配ってもらった宮島の生姜飴を頬張りながら、観音コースを北へ登り始めたが、最初に、白い水仙の小さな群れが、私たちを出迎えてくれた。
その後、いきなりの急坂、落ち葉が積もった木階段を喘ぎつつ10分ほど登ると、眼前に二筋の割れ目のある巨石が現れた。そのすぐ脇に立つ二股の木の根元には「二合目」の札。 

瀬戸の海の絶景をしばし堪能


雑木林の合間に見え隠れする青い海と相対する白い恋ケ浜を眼下にしながら、しばらく進むと、車道に出た。観音菩薩の石碑が建ち、石光山西楽寺の十一面観音菩薩の由来を記した立札のある西泊公園展望台である。
観音菩薩の石碑、西泊公園展望台
展望台で瀬戸の海の絶景をしばし堪能し、10時24分、平成みちびき観音菩薩像を横目に、西楽寺に向かい再び登り始める。
ここからは、右に左に折れ曲がる急な石段が続く。石段と次の石段の間には、足弱な人達の為に段差を補うブッロクが丁寧に置かれていた。
冷気に汗をかくほどではないが、寒さ対策に着込んでいたフリースやらヤッケをリュックに押し込め、長袖シャツの上にベストという軽装となって登り続ける。
右上、巨石群のトップに珍しい形をした岩
苦しさを紛らすようにに見上げた立ち枯れた木の先に、抜けるような蒼穹をバックに音もなく移動する白く輝く飛行体が美しかった。


五合目あたりから見える瀬戸内の景色、青い海や空と山裾のコントラストが美しい
10時42分、軒先に鐘が吊るされた西楽寺の観音堂に着く。御堂には十一面観音が安置され、百度石の石碑が建っていた。ここが「五合目」である。
西楽寺の観音堂、お百度石
恋ケ浜や県民の浜、浮かぶ島々、遠くにかすむ四国の山脈、の美しい景色を背にし、さらに、木階段を喘ぎながら登ると、11時02分、「六合目」の札に出会った。
その後、頭上からの野鳥のさえずりや飛行機の爆音を耳に、やや緩やかな尾根道を、木洩れ陽を浴びながら、つかの間、楽しむ。誰かが口ずさむ歌声も聞こえたように思う。
11時10分頃、またまた急坂となる。朽ちた木の、手摺や階段の横木が痛々しい。
11時19分に「八合目」、11時24分に「九合目」の札を確認する。
これまでは北へ向かっていたが、九号目から頂上へは、ほぼ西進することになる。
九合目より一旦鞍部に下った後、やや平坦な道を進み、桂の滝への分岐を経て、頂上への最後の階段道を急ぐ。
11時38分、457mの頂上に着く。そこには、2階作りの立派な展望塔が建てられていた。周囲を雑木に遮られているので、千金の瀬戸の海の視界を、より良くするために設けられたのだろう。北側は全く視界がきかず。

頂上に、2階作りの立派な展望塔が建てられている

七国見山の名の由来を示す、備後・備中・安芸・伊予・讃岐・周防・豊後の古地図が表されていたが、しかし、しっかりと見えるのは、南の伊予・東の備後・西の安芸の三国で、かすかに周防が見えるといえば、そうかも知れない。穿って考えれば、三国や四国ではありきたり、そこで大きく七国見としたのだろうか?
昼食の前に、恒例の集合写真を撮ることになり、副会長から、展望塔の2階に陣取っていた先客さんにシャッターをお願いした。すると、どういうわけか、ゾロゾロと5人の娘さんたちが下りてきて、集合した私たちの前に並んだではないか。はじけんばかりの若さ溢れた笑顔に、「ハイ、チーズ」との声、目尻の下がった我が顔が楽しみである。尋ねたところ、ノートルダム清心の学生で、ワンゲル部だとのことであった。
集合写真のシャッター切る、5人の若い娘さんの前では、自然と笑顔になります。
昼食は、風もなく穏やか陽光のもと、展望塔の下に陣取って、女性陣から干し柿・煮豆・輸入もののチョコやらを分けて貰い、おいしく戴いた。
下山は、周回コースの計画に従い、予定より7分遅れの12時7分に、西北西に向かって下り始める。
しばらくは、緩やか下りだったが、10分ほどで、結構な勾配となった。12時45分に「六合目」、12時47分に「五合目」と順調に下る。が、その先は、きびしい急勾配で、難儀を強いられた。
12時59分に「三合目」を過ぎると、すぐに、アスファルトの林道に出、ここからは南へ向かうことになる。
アスファルトの林道、山の南側の中腹を緩やかな坂が続く
13時10分に108m地点に着く。しばしのトイレ休憩。道端に緑の葉に映える赤い野苺が鮮やかだった。
次のポイントの物見橋公園には、13時49分に着く。北の山側は、巨岩が緑の山肌の中に鎮座し、奇岩が蒼い空に突き出、南側は、ところどころ赤く染まった緑の林が、ゆったりと碧い海へと流れ込んでいる。直ぐ近くには、採石場も見える。
海の向こうは伊予の国、穏やかな海です

海の向こうは伊予の国。南東は今治、南西は松山である。遠く薄墨にけむる四国の山脈に石鎚を探すも、特定はしかねた。
物見橋公園からは、スタート地点の蒲刈ウォーキングセンターを目指し、林道を東へ向かう。ポツンポツンと、テンデンに小さな固まりを作って、ほんのかすかに潮と蜜柑の香りを感じながら、だべりつつ、のんびりと下って行った。
14時26分、西は蒲刈大橋、東は恋ケ浜や県民の浜に続く287号線に出会う。ここからセンターまでは、0.3kmである。
14時30分から35分にかけ、私たちは、三々五々、無事ゴールのセンターに到着することができた。
帰路、蒲刈大橋東詰めの“であいの館”で土産を買いもとめ(会長より、千円のレシートで安芸灘大橋の通行無料券がもらえるとの助言あり)、そこを15時15分に出発、呉の広でCoCo‘Sのドリンクバーを楽しみ、商工センター近くに戻ったのは、17時少し前。
暮れるには未だ少し早く、銀鼠色の雲が、落ちる陽から放たれた光の帯に照らされ、白銀にあるいは茜色に、千々に染まる様子は、素晴らしかった。
今日の絶好の日和と上出来の計画に感謝!
尚、文中の時間は、108m地点までしんがりを務めた筆者の撮影したカメラの記録によるものです。

了。

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