2023年5月23日~25日 隠岐の島めぐり
隠岐の島に高い山がありますか?と聞かれて、即答できる人は隠岐の島の出身の方か、隠岐の島の成り立ちを良く理解されている方でしょう。恥ずかしながら、私は、同じ島根県出身者でありながら、ここ隠岐の島諸島には、生まれて初めて訪れた次第です。
この島がもともとは鳥取の大山と連なる火山であったこと、3万年前の古代から、火山ガラスである黒曜石が出土し、貴重な刃物の材料として扱われ、それが当時、陸続きであった出雲、山口、新潟、そして瀬戸内海から四国にまで流通拡散していたと伝えられ、その痕跡が残っています。この辺の予備知識も無しに、この島に来たことを後悔しておりますが、それ以上に見るべきものの多さと、その景色の美しさと雄大さに感動しております。
西ノ島の「国賀海岸」エリアを散策 (5月23日)
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西ノ島の「国賀海岸」エリア |
前置きが長くなりました。まず、山の会は先ず山登りです!といっても、隠岐の島の最初の日は、西の島の「国賀海岸」と連なる高原の原っぱを散歩ということで、天気の良い青い空にグリーンの牧草地を進むと、何か直径が20から30センチの褐色の丸い落とし物が緑の大地に、あちらこちらに点在。
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西ノ島の「国賀海岸」エリア展望台付近を散策 |
放し飼いの馬や牛が所々に見られ、数頭ばかりのんびり草を食んでおり、のどかな景色のコースと思いきや、海岸沿いには....浸食を受けた崖の姿と日本海透き通った青い海が圧倒してきます。
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栄養豊富な草を食んでる馬、足が太い |
多くの転がっている丸い落とし物をよけながら、草原の遊歩道を「國賀海岸」に向かって下りると、右手方面に垂直に切り立った高い絶壁が見えてきました。「摩天崖」です。なんと海抜257mの大岩壁というその高さに目を見張ります。このような断崖、海食崖(かいしょくがい)が、島の北側から西側にかけて約13kmにわたって続きます。
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「摩天崖」の上層部の突端から、下の海岸まで257mの高度 |
さらに、その遊歩道をすすむと海岸には、通天橋が日本海の波に洗われ浸食された洞窟のトンネルで、天井が陸とつながって巨大な橋を架けたようです。
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波の浸食などにより、洞穴が削られ岩と岩とが、 つながって橋を架けたような「通天橋」。 |
西ノ島には、特別な時期にイカが集まり、手掴みでイカが取れるという、不思議な海岸があるそうで、「イカ寄せの浜」と呼ばれています。
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イカ寄せの浜 |
「國賀海岸」を見て別府港へ向かう途中に立ち寄りました。その海岸の浜辺の正面に、漁業の守護神の「由良比女神」が祭られています。
イカと神さんの不思議な伝説があり、イカがある時期集まってくるそうです。残念ながら今はその時期ではないので、イカの群れにはお目にかかれませんでしたが、イカがなぜ集まるかは、この神社に伝わる神様とイカの逸話があるそうです。
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この「由良比女神社」の社殿の前の浜が「イカよせの浜」
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由良比女神社本殿 |
いよいよ本日、24日に、隠岐の4島の最大の島、道後(どうご)の島にそびえる「大満寺山」、「鷲ヶ峰」を目指す。最初は有木登山口から登る計画でしたが、そこから大満寺山頂までには行程が長いのと、登山口への林道の道があまり良くないと聞き、有木登山口からでなく、山頂に近い登山口からとしました。
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鳥居の真上にそそり立つ乳房杉(ちちすぎ) |
車で島の東側の浄土海岸の方面から林道に入り、「乳房杉(ちちすぎ)」が祭られている岩倉神社の鳥居の前に車を駐車しました。
そこには鳥居をはさんで大きな乳房杉が見えます。最初、この「乳房杉」の読み方がわからなかったのですが、水の乏しい島の高い山にあるここの杉は、ちょうど屋久島の杉のように、水分を幹に蓄えて、太く湾曲した幹がちょうど乳房のような形になって垂れ下がっています。それで、このような名前でよばれ、祭られるようになったようです。
そこから約500mばかり歩き、林道を登り切ったところで「大満寺山」の登山口を見つけました。
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「大満寺山」登山口 |
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「鷲ヶ峰」、「大満寺山」への案内板 |
その同じ場所から少し道を隔てたところに、「大満寺山」と「鷲ヶ峰」への山道を記した看板がありました。近くには車が2台駐車中で、千葉県と熊本県から来られた思われる登山客の車でしょうか。後々、この熊本から来られた方で、山登りを楽しんでおられる中年のご夫婦と知り合うことができて、たまたま移動先が同じコースとなり、移動中のフェリーの中で、同じ山仲間として、楽しい山談義をすることができました。
この場所は、ちょうど尾根筋にあたるところで、先ず「大満寺山」の登山口から登り始めました。
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「大満寺山」山頂へ、尾根筋を進む |
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よいしょと! |
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山頂付近、ロープが所々で助けてくれる。 |
高い灌木のトンネルを抜け、緩い坂道を進みます。道は火山灰を含んだ黒い粘土質の土で、うっかりすると滑って尻もちをつきます。少し行くと坂が急になり、ところどころにロープが張ってあり、それを頼りに滑らないようにのぼっていくと、やがて頂上が見えてきました。 |
大満寺山頂のデッキがみえてきた!。 |
パット視界が開け、「大満寺山」山頂(607.7mh)に到達です。到着記念の写真を、先ほどの熊本から来られた方にシャッターを押して頂く。
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「大満寺山」山頂への到達記念写真、「ハイ・ポーズ!」 |
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山頂のデッキには島根県立隠岐水産高校の登頂記念の 銅板が埋め込まれていました。 「大満寺山」山頂からの眺め
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ここから、最初に登ってきた「大満寺山」の山頂への登山路を引き返し、登山口の案内板のところから、「大満寺山」とは反対方向の「鷲ヶ峰」のを目指します。
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大満寺山系の花が紹介してある立札 |
登山道の傾斜はあまりきつくはないのですが、進行方向の左は山側で、右側は谷となって、尾根の側面を進む感じです。所々に木造りの手すりのある立派な梯子が架かっていて、安心して行けて、周りをじっくり見渡せる登山道です。なかには、鉄製の梯子もかかっており、山道は、花などを紹介した立札もあり、かなり整備されています。
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所々に梯子が架かけてある |
約30分ぐらい登山道を進み、中谷登山口からの合流地点を右方向に、林の中をしばらく進むと鷲ヶ峰山頂(560mh)です。
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石楠花の花がお出迎え
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ピンクの石楠花(しゃくなげ)
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このコースは、眺めが良く、木々の間から遠くが見え、また、山頂には大きな岩があるのですが、なんと、我々を待っていたのは岩の近くの緑の葉の中から浮かび出た、あざやかなピンクの美しい石楠花(しゃくなげ)の可憐な花で、感激です。
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鷲ヶ峰山頂から屏風岩を望む
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この日は抜群に良い天気で、頂上を散策を楽しんでいたところ、急に20人ぐらいの中高年の登山客の団体さんが登ってこられ、狭い「鷲ヶ峰」山頂も都会並みのラッシュアワーの様相でした。 この後「鷲ヶ峰」を下山し、最初に車を置いてきた「乳房岩」のある岩倉神社の鳥居の近くの林道の脇で昼食タイム。昨晩、宿泊させてもらった西郷の旅館のおかみさんの手作りの「おにぎり」を、一人り、三っづつ、ほおばって昼食タイムを過ごしました。美味しかったです!。おかみさん有り難う!
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右端下の岩はトカゲ岩と呼ばれています。トカゲに見えますね! え!誰ですか?クマに見えるが…といわれる方? |
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白鳥崎展望台、日本海が目の前に広がる。 |
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竹島まで161kmの方角をさしている。 |
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このあたりは沖島オオミズナギドリの繁殖地 |
隠岐の島については、島の成り立ちから、その自然や植生などとあわせて、後鳥羽上皇や御醍醐天皇さんが島流しにされた歴史など、見たり、読んだりして、島流しにされた当時の上皇様や天皇様の気持ちを詠われたお心を短歌で偲び、そのお住まい跡などを見たり、歩いてまわったりしました。知らないことが、まだまだありますが、非常に面白い、味わいの深い島でした。 完
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