山根さんの寄稿です
2021年6月27日(日曜日)
深更、雨音に目が覚めた。予報では曇りとなっていたが、梅雨前線が列島近くの太平洋上に張り付き、台風5号が前線を支える形となっている。やっぱり雨かぁ・・・と、気に病みながら再び寝付こうとするも、蒸し暑さもあってか、なかなか二度目の眠りに落ちなかった。
いつもより、2時間近くも遅い6時半過ぎに目覚めると、東の空には薄陽が漏れていた。急ぎ支度をする。
本日は、岩国市美和町の白滝山(458.6㍍)と大師山(471.5㍍)を目指す。
あの山に登るぞ 右白滝山 左大師山 |
大竹から吉和への国道186号線を折れ、小瀬川の人造湖 弥栄湖に架かる県境の大橋を渡って、県道116号線の最初のカーブを、案内板に従って右へ曲がり、登山口のある“岸根地区集会所”に車を駐めた。参加者は男女各2名の計4名、私の知る限り、最小人数である。
集会所のすぐ前の登山口には、白と青の紫陽花を従えた立派な『白滝山・大師山登山ルートマップ』が建っており、右前方には花崗岩の岩肌を見せて白滝山が、その少し左奥に大師山が姿を見せている。
二つの山の感想を先に言ってしまうと、案内標識の類いが丁寧に整備され誠に気持ち良く、いくつかの山の醍醐味が実にコンパクトに盛り込まれており全く驚いた。適度の高さの灌木の山道・せせらぎ・数々の奇岩巨岩・遮るものの無い眺望・輝く水面・急峻な坂道と鎖場(実際にはロープだが)・神社御堂・路傍の石仏・・・。なんで今まで、こんな近場のイイ山に登らなかったのだろう。と、思った。
赤のAコースを歩きました |
さて、予定より5分ほど早く、9時25分頃、東に向かい登り始める。浅い眠りだったせいか、体が重い。10分も歩くと、最初の標識。「頂上まで1.3㌔」とある。栗林を護って設けられた金網の柵沿いを進むと、倒れて間が無げな倒木が路を遮っていた。路は泥濘でいる。
頂上まで1010m地点 |
山ツツジは今が咲く季節なんですね |
薄紅色の山躑躅が綺麗だ。9時57分「頂上まで700㍍」の標識。南を背にして北に転ずると、「頂上まで660㍍」とある。路は乾いた花崗岩質に変わり、足首に巻いた泥除けのスパッツが不要になった。陽当たりのせいで山躑躅が多い。頂上をほぼ真北に臨み、しばらく進んで眼下に目を落とすと、湖岸に東屋の建つ弥栄湖の水面が光っていた。
中腹から景色が開け右側がダムでその 向こうはこちらと同じような岩山です |
真砂土の坂が続きます |
入道岩です。いいい景色でしょう |
ついで、21分“五頭岩“に至る。岩の割れ目に曲がった松やらが生えている。その先には“あざらし岩”がのっぺりとした頭を弥栄湖に向かって突き出している。
五頭岩 |
旗立岩 |
10時37分、白滝山頂上に着く。所要時間は1時間10分強。登山口から1400㍍ほど歩いた。この頃になると、すっかり日差しが
頂上はもう少しです |
強くなり、首筋の後ろが焼け、大いに喉が渇く。体が未だ暑さに慣れていない。
頂上の平坦な地面に据えられた方角板には、北北東に三倉岳(その少し右奥に大峰山)・北東に黒滝山・北西に大師山と羅漢山・南西に権現山と刻まれていた。黒滝山は特定できなかったが、南に目を転ずると、弥栄湖に架かる白い斜張橋が美しかった。
.ダムをボートが旋回し波紋が綺麗です |
下の赤瓦の所が駐車した集会所の所です |
三倉岳 |
白滝山頂上にて |
次は谷の向こうの大師山 |
記念写真を撮り、10時45分、早速、大師山に向かう。53分、“雨乞岩”へ。巨岩が重なり合い、ひとつの岩には大きな文字が刻まれている。『魔』とも『塵』とも読めるが、定かではない。
これが大師山、100m少し下り又登ります |
続いて、56分に“千人崩れ”。11時には、左手(西)に「白滝城跡・白滝水神社・鏡池」の標識へ至る。一旦、神社と鏡池の方へ入り込んだが、どうも様子が違い引き返す。直後、西に方向を転じ、脇に太い金属の鎖の張られた路を大師山へ向かって下る。
日本庭園 どこが日本庭園なのかよく解りません |
11時10分、鞍部に至り、上り返しとなる。“日本庭園”や“見晴岩”を経て、11時20分、そのまま西に向かえば「大師山」、左手(南)に折れて下れば「白滝山グランド」との、分岐に至る。後者のルートは、この後の急峻な路を避けたバイパスである。2分後、大師山へ250㍍の標識。
ウサギ岩 |
11時34分、“ウサギ岩“との木札有り。これは、後で頂上から眺めると、耳を後ろに寝かせたウサギそっくりの岩だとわかった。
三倉岳の右側は大峯山です |
さて、帰路は“大師山八十八ヶ所参道”を下ることになる。12時29分に出発。下山路の最初の標識は“くぐり岩”とある。
くぐり岩 潜った向こうの岩が登りにくい岩でした |
だが、ここから大変だった。懸命に伸ばして降ろす爪先が容易に届かぬ段差。そしてまた、段差。同じ箇所に幾本も張られたロープ。ストックは邪魔なばかり。体を捻り、腹ばいになり、体全体を使っての悪戦苦闘の下山である。
大師山を下りる時、1ケ所こんなロープ なしでは下りられぬような急坂あり |
しかし、路傍にそれぞれ工夫して安置された、大小さまざまな幾つもの石仏さまが、そうした私たちを励まして下さっているようだった。
下山中腹に88ケ所巡りの石仏あり |
12時42分、最後の難関“くぐり岩”を、リュックを降ろし、体を捩り、脚を突っ張って通り抜ける。
東屋 下山はもう少しです |
大師堂 |
大師像石像 ここからお参りし 88ケ所巡りをされるのでしょう |
13時ちょうど、鉄階段を下り、林道に出る。その脇の小高い位置に、立派な大師様が立っていらっしゃった。
大師山山頂から距離にして350㍍ほど、標高差320㍍ほどを、わずか30分で下ってきたことになる。きつかったぁー。
この鉄階段を下りると山道は終わり、 車道を集会所に帰ります |
ここからは、岸根川沿いに舗装された林道を南へ900㍍ほど下れば、出発点の“岸根地区集会所”である。道々、幼少を田舎で育った身とて、蕨を抜き取り、野苺を摘まみ、蕗を採って、そぞろに歩く。
13時20分、登山道入口に戻る。所要時間4時間。万歩計を確認すると、9000歩に満たない。普段の散歩よりも随分と短い。歩行距離、推定4000㍍ほどだ。
集会所から白滝山を返り見すると、白い雲と青空を背にして穏やかに座っていた。
小瀬川(弥栄湖)の西岸にいきなり聳え立ち、東の山裾の岸根川までの東西間は2㌔に満たないだろう狭いエリアに、趣の異なる二つの秀峰。チョウベリーグーな山行だった。
それにしても、私たち以外の登山客は、少し前に出発した女性二人組と、後から出、追い越していった男女二人組だけだった。不思議だ。
了。
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