比熊山(331m) 2025.4.27(日)
この度の寄稿者は、中本さんです。
今日の山は、三次市三次町の北側にある比熊山です。331mの低山ですが、妖怪物語『稲生物怪録(いのうもののけろく)』にゆかりのある、戦国時代からそびえ立つ山で、山頂には毛利家に仕えた三吉広高(みよしひろたか)の居城があったということです。
比熊山周辺に残る「神籠石(こうごいし)」を紹介するガイドマップが完成したという中国新聞の記事を見た、当会代表の提案で今回の山行になりました。今日は、三次地区自治会によって制作された「比熊山登山&周辺MAP」に従って、山頂にある「たたり石(神籠石)」を目指すとともに麓周辺の歴史スポットを散策します。
比熊山、鳳源寺(ほうげんじ)あたりから望む。 |
好天で、朝方の気温は低かったものの午後は気温が上がり、暑いくらいの日になりそうです。参加者は8名(男4、女4)。
尾関山公園駐車場は、ゴールデンウィークが始まった日曜日にしては車が少ないようですが、まだ時刻が早いせいでしょうか。ツアーの参加者らしき人たちの姿もありました。
9:50 尾関山公園を予定より20分遅れでスタートしました。登山マップに従ってまずはR375を東方面へ歩きます。鳳源寺(ほうげんじ)、吉祥院(きちじょういん)、妙栄寺(みょうえいじ)、西江禅寺(せいごうぜんじ)と、江戸時代の三次藩初代藩主「浅野家」に関わりがある各宗派の寺を横目に見ながら登山口に向かいます。
太歳神社(ださいじんじゃ)、境内に入ると両方に砲弾が置いてある。 |
10分で太歳神社(ださいじんじゃ)に着きました。「ダサイ神社とは可哀想じゃろう」との声もありましたが、この太歳神社が今日の登山ルートのスタートになります。境内に入ると両方に砲弾が置いてあり、左側には石造りのきれいなトイレが目を引きます。正面には石の階段があり、その奥には木々の間から社が見えます。階段横の手水舎の前から登山道が始まっており、山頂まで900m、所要時間45分とあります。
樹林帯に入り、竹林もあります。所どころに大きなタケノコがにょきにょきと立ち上がっていて、土産にしたいなと思うもののそれはできません。食べるには少し育ち過ぎているようです。
山岳信仰の痕跡か道脇には石仏が並んでおり、中には転がり落ちた仏様もありました。小さなジグザグを15分ほど歩くと古い東屋があり、分岐を山頂方向に登っていくと赤い大師堂の建物がありました。そこから視界が開けて三次の街並みがみえます。
鳳源寺(ほうげんじ)近くの古い東屋 |
大師堂 |
山頂まで800mの表示 |
一息入れて山頂を目指します。山頂まで800mの表示がありました。ここからは登山らしい山道となり、ジグザグも大きくなりました。林の中を登っていくと、20分ほどで山頂まで140mの標識があり、右上に新しそうな東屋が見えます。その東屋には帰りに寄ることにして、山頂の「たたり石」に向かいます。
樹林帯の中、なだらかな山道が続く。 |
10:53 ベンチがある山頂らしきところに到着し、「たたり石(神籠石)」が鎮座していました。この辺りは、ヒノキが立ち並ぶ平地が広がっています。毛利家に仕えた三吉広高の居城跡地として「千畳敷」と呼ばれたというのが納得できます。
たたり石(神籠石)が鎮座されている。 |
たたり石(神籠石)の伝説 |
時この「たたり石」に触れると不幸なことが起こると言われていたそうですが、そんなに恐ろしそうな石には見えません。ここからも、山に囲まれて三つの川が交わる三次市街がしっかり見渡せます。この後上る高谷山も目の前に見えました。
比熊山の山頂より。眼下には三次市街地が広がっている。 |
30分ほど休憩した後、下山します。上るときに見た新しい東屋がある広場の方に回ってみましたが、ちょうど、太歳神社の禰宜がガイドされている「三次の比熊山、三つの神籠石を巡ろう」というツアーの方々が大勢おられて、ゆっくり見ることができませんでした。
妖怪東屋から見る三次市街がみえます。 |
東屋の天井には地元の小学生が描いた9枚の妖怪の絵が並べてあるということで、絶景ポイントでもあります。また、この広場には、旧大師堂や井戸の跡もあります。
瑶(よう)泉院(ぜんいん)(阿久利姫)の像 |
大師堂まで下り、表示に従って分岐を鳳源寺方面に向かいます。登山MAPどおり、瑶泉院(ようぜんいん)(阿久利姫)の遺髪塔、忠臣蔵ゆかりの人物の木像が展示された義士堂、浅野長治公によって建てられた鳳源寺と歴史スポットを回り、12:10尾関山公園駐車場に帰ってきました。
忠臣蔵ゆかりの人物の木像が展示された義士堂 |
予定表からは10分遅れです。一服してから尾関山公園の展望台まで上がり、お待ちかねの昼食です。桜の季節も終わり、人の姿はまばらでした。
13:10発 尾関山公園駐車場から車で最後の目的地である高谷山に向かいます。霧の町三次で、特に有名なのが高谷山490mから見る霧の海です。「霧の海が見られるのは、9月~3月にかけての早朝。特に9月下旬~11月にかけては日中の湿度が高く、より発生率が高くなる。市内中心部で、西城川、馬洗川、江の川の3つの川が合流するという珍しい地形がこの現象を生んでいる」ということだそうです。
高谷山展望台(490m)から見える三次盆地の広がり |
駐車場から200mぐらい登った広場に展望台があります。この時期、今の時間に霧の海は見えませんが、展望台から三次盆地の絶景が広がります。三次の街並み、比叡尾山(ひえびやま)など周囲の山々、三つの川と巴橋、そして先ほど登った比熊山などが一望できます。
そして、ここで我が会のメンバーがまたやりました。ボランティア精神かはたまた性?か、ホコリなどで見辛くなった展望台屋上の案内板をウエットティッシュで磨き上げたのです。すごい! ワイワイ言いながら蕨を摘んだりして高谷山を後にしました。
私にとっては、ほぼ1年ぶりの明日山会参加でしたが、絶好の山日和に恵まれて、各所の眺望を楽しむと共に故郷の歴史に触れることができ、何より久しぶりに会の皆さんと山歩きができたことで、さわやかな初夏の一日になりました。ありがとうございました。
〈文中の歴史スポットその他については、三次観光推進機構のサイトや三次地区自治会連合会制作のパンフレットなどを参考にしました〉