Wednesday, 11 August 2021

武田山(Takeda Yama 410.9m)

中本さんから寄稿です

 2021.7.25()


 今日の山は、広島市安佐南区の武田山で、私にとっては毎日眺めている地元の山です。安芸国の守護であった武田氏の本拠銀山城が築かれていた山を、武田氏にちなんで武田山と呼んでいます。武田山は、鈴ヶ峰までの長い縦走路を持つ通称広島南アルプスの北端にあり、戦国時代の歴史を感じながら、頂上からは周りの山々や麓の市街地、さらには瀬戸内海の島々などの絶景が楽しめます。

北側(毘沙門台団地)から望む武田山

登山コースはいくつもあり、地元有志によりよく整備されています。私たちの会も過去に数回登っておりますが、今回は、JR可部線大町駅から約10分の大町ルート登山口からカガラ(ガガラ)山を経由して武田山頂上を目指し、武田山憩の森登山口へ降りてJR可部線下祗園駅へという、会としては初めてのコースです。都合により、大町駅発の時間を少し遅めの10時としていました。参加者は7(5、女2)です。予報は晴れ、今日も暑くなりそうで熱中症には注意が必要です。因みに、参加者全員が既にコロナワクチン2回接種済みだそうです。

大町団地のバス道路の一角に登山口

 10:00 大町バスターミナル側からスタート。大町団地入口を上って15分で登山口へ到着。登山口で軽く準備運動をしているところへ、山歩きとは思えない様子の女性が下りてこられました。この登山口がある細道の数十メートル程は団地の生活道でもあるようです。すぐに「登山者の皆様へ」の案内板があり、ここから本格的な山道が始まります。金網で囲まれた調整池の横を進んでいくと、刈払い機を持った男性に出会いました。登山道などの整備をされているでしょうか、夏の草刈り作業の辛さはよくわかります。

名水への道標を左に見ながら直進

ここではリラックスタイム

山道は涼しい木陰のトンネル

登山口から15分ほどで「名水への道」の標柱が立つ分岐があり、カガラ山は直進です。さらに山道を10分ほど進むと「八幡山里道」とカガラ山の分岐で、まもなく樹林が途切れて明るくなり6分で「武田山・大町コース」の表示があります。

<途中で見かけたキノコ類>

黄金色のキノコ
白い色のキノコ




きれいなピンクいろのキノコ

視界も開けてきて、武田山や遠くの島々、木々の間から麓の街並みが見えるようになります。ややなだらかになった道を進んでいくとたくさんの道標がある分岐に出て、武田山へはこの分岐を左折するのですが、まずは直進してカガラ山に向かいます。

カガラ山への分岐

11:01 なだらかな尾根道を4分ほど歩くと、ごつごつとした大きな岩が重なったカガラ山の頂上に着きました。山頂には白い標柱が立っていて、だいぶ白が剥げていますが、それには「ガガラ山山頂」と書いてあるように見えます。ここまでにあった新旧多くのカガラ山の道標には、「カガラ」と「ガガラ」の両方があるようです。

中央にカガラ山(212m)山頂の標識

カガラ山山頂からの眺望、権現山、阿武山、麓の街や団地が一望できる。

 カガラ山は212mの低山ですが、山頂からの大展望は期待以上でした。西の方向にはこれから目指す武田山が目の前に迫ります。ここから見る武田山は、古川沿いから見る横に広がってでんと座った姿と違って、すっくと立った三角形の美しい姿を見せています。その後ろに火山が頭を出し、遠くに安芸小富士も見えます。反対方向には荒谷山、権現山、阿武山などの山々、眼下には武田山団地、アストラムライン沿線や可部方面の街並みが広がっています。

カガラ山山頂で集合写真

11:15 しばらく展望を楽しんだ後、武田山を目指して分岐に引き返します。分岐からはカガラ山と武田山の鞍部に向かって下ります。5分で「吹通し」の標柱が立つ鞍部に着き、そばの広場には武田山案内図や小さな小屋、丸太のベンチがあり「対峙の場」の標柱がありました。

〈ここで参加者のなかの1名が体調不良で武田山を断念、引き返されることになった。〉

しばし休憩の後、武田山に向かって進みます。すぐに分岐で「八幡山里道・麦田神社」の標柱が立っており、左は大倉屋敷跡、憩の森方向です。ここから4分ほど植林のなかを直登、一時緩やかになるものの今度はつづら折りの急坂が続きます。20分ほどでやや明るくなってきて「吹通し」から30分で展望広場に着きました。

展望広場、ベンチに座ての展望が期待される

野登呂山方面の街並みを眺めながら一息入れ、いよいよ銀山城の領域に入っていきます。守りの堅い名城といわれるだけに、武田山には、斜面を削って平らにした廓や尾根を断ち切った堀切などの遺跡が多く残っているそうです。廓跡、見張り台、犬通しなどを通る山頂への道は、大きな岩や狭い急坂、段差の大きい階段などさすが山城跡と感じさせる厳しい登りが続きます。


銀山城、廓跡

見張り台跡、山城の見張りとして機能の説明がある

12:36 巨岩が並ぶ広場、館跡に着きました。

〈その時、引き返された方から無事下山したとの連絡が入り、一同一安心。〉

鶯の手水鉢といわれる大きな岩もあり、眼下に祇園の町が広がっています。

鶯の手水鉢

 山頂はこの上ですが、日陰もあり弁当には絶好の場所なので、ここで昼食を摂ることにしました。約50分休憩した後、すぐ上の山頂に上がります。三角点があり銀山城跡の解説板も立っています。標高411mの頂上からは、東西に流れる太田川や広島市街地、広島湾から瀬戸内海の島々まで一望できます。太田川の向こうに二ヶ城山、松笠山、牛田山、その向こうには呉娑々宇山、野呂山、絵下山などの山々、広島湾には安芸小富士も浮かんでいました。

武田山山頂大岩付近での集合写真

10分ほど絶景を楽しんだ後は下山です。これまでは登りに利用していたメインの祇園・山本ルートを武田山憩の森に向かって下ります。本丸があったとされる千畳敷を通って約10分で石積みの御門跡、8分で大手道分れの十字路に来ました。予定ではここを直進し、馬返しを経て祇園北高校分れを通るコースを下るようになっていたのですが、先頭の私が何を思ったか右折して大手道コースに入ってしまいました。そのままどんどん下り、堰提の横を通り谷川沿いの道を下ると、山頂から35分で武田山ルート案内図がある登山口に着きました。舗装路を下って武田山憩の森に着いたのが14:20でした。

 カガラ山の360度に近い展望、山城跡を感じさせる吹通しからの厳しい登り、武田山頂上の広島市街地と瀬戸内海までの眺望など、歴史への興味は薄い私ですが、皆さんと登る山は最高です。厳しい暑さを忘れる楽しい一日になりました。